建設業界においては人手不足や高齢化などの課題がありますが、営業の効率化も大きな課題となっています。営業活動が非効率だと企業としての成長が期待できず、売り上げが伸び悩む原因にもなります。この記事では、そんな問題の解決に役立つ「営業支援システム」についての概要、解決が期待される課題、メリットやデメリット等について解説します。
営業支援システムの概要
営業支援システムとは、一体どのような物なのでしょうか。基本的な所から解説していきます。
営業活動をサポートする
営業支援システムはSFA(Sales Force Automation)とも呼ばれ(以下SFA)、企業の営業活動をサポートするために活用されているツールです。企業間でのやり取りである、いわゆるB to Bを行う業種では、よく用いられています。既存の顧客や見込顧客に関する情報をまとめ、分析するために役立つシステムです。営業の活動の可視化や数値化をすることが出来るので、営業の効率化や最適化に繋がります。
顧客情報、案件、商談、予算、実績などの管理や売り上げ予測やシミュレーションといった機能が、SFAに登載されています。
導入することで解決できる課題
SFAを建築業界に導入することで、どのような課題を解決することが出来るのでしょうか。大きく3つに分けて解説します。
共有の遅さ
建設業では、営業活動に関する情報が上手く共有されていないケースがあります。建設現場や相手先の訪問などで会社を長い間空けていることも多く、報告が遅くなり、チームでの共有に支障が出る等の課題がありました。SFAを導入すれば、顧客情報を管理することで、リアルタイムで共有することが可能になるのです。それぞれの営業担当者がいつでも必要な情報を入手できるシステムがあれば、営業活動が最適化されます。
また、案件の状況を確認することも出来ます。途中で担当者が変わることが珍しくない業界なので、そういった場合でも簡単に進捗状況を把握することが可能です。案件をスムーズに進めることが出来れば、結果として顧客からの信頼を得ることにも繋がります。
業務の属人化
属人化とは、特定の業務の進め方や内容を、担当者しか把握していない状況のことを言います。そのような状況になると、営業担当の中でも限られた人物しか成果を出せない、という問題が生じます。全ての営業担当者が一定の成果を出せるようにするために、SFAを導入する建設会社も増えています。知識やノウハウを共有することで、優秀な人材が退職したとしても、業績が悪化するリスクを回避することが出来ます。
予実管理の難しさ
予算を決めるには、何にどれくらいの金額を要するのか、見通しを立てる必要があります。しかし営業の進捗が分からないと、見通しを立てることが難しくなります。SFAには予実(予算と実績)の管理を機能が備わっているため、予算に関する適切な判断をサポートする役割も果たしてくれます。
導入するメリット・デメリット
SFAを建設業に導入することは、メリットとデメリットの両方があります。どのようなものがあるのか、以下で解説します。
メリット① 可視化と情報共有が可能になる
営業部門の活動はそれぞれの判断に任せる、というスタンスを取る業種が多く、建設業も例外ではありません。SFAを導入することで、各営業担当の活動や結果を把握することが出来るので、営業部門全体を可視化することが可能になります。
また、顧客情報や案件情報を共有しておけば、社内だけでなく社外でも情報をアップデートすることが出来ます。営業の自由度が上がり、業務効率が非常に良くなります。各営業担当がそれぞれ持っている情報を共有することで、トラブルの解消にも繋がります。
メリット② 良いタイミングで営業が出来る
営業が上手くいくかどうかは、タイミングが重要になります。どのタイミングで営業を行うかを決めるために、SFAは有効です。前回の訪問時の内容をまとめて、顧客ごとに記録しておくことで、次回の訪問のタイミングを教えてくれます。スマホでスケジュール管理をしている営業担当の方も多いと思いますが、入力ミスやダブルブッキングなどの可能性もあります。SFAを利用すれば、そのようなリスクも抑えることが出来ます。
メリット③ 教育コストを抑えられる
情報共有が行われれば、各営業担当が持っている知識や技術を、チーム内での教育に活かすことが出来るようになります。研修で営業方法を身に着けるのが一般的とされていますが、コストがかかるといったデメリットもあります。SFAを用いたチーム内教育を行えば、教育コストを削減出来るのは勿論のこと、チーム全体のパフォーマンスを上げることに繋がります。
デメリット① 入力作業が増える
顧客や案件に関する情報を入力する際は、入力項目を増やせば増やすほど、細かい分析が可能になります。しかしその分時間がかかるため、作業効率が落ちる可能性もあります。SFAの利便性から、フル活用しようとして項目数を増やし過ぎたが故に、営業担当の入力が追い付かない、ということになりかねません。入力項目は最初の段階で検討し、多くなり過ぎないように注意しましょう。
デメリット② コストがかかる
SFAはサブスクリプション形式のサービスなので、毎月コストがかかります。営業の効率化を図るシステムは、多少の費用がかかることは避けられません。多くのシステムは様々なプランを用意しているので、コストパフォーマンスが良いプランを選ぶと良いでしょう。
営業支援システムを選ぶ際のポイント
営業支援システムには様々な種類がありますが、各会社に応じたものを選ぶことが大切です。選ぶ際のポイントを、以下に紹介します。
必要な機能が備わっているかどうか
営業支援システムを導入するにあたり、目的は何なのか、達成するためにどのような機能が必要なのかを確認することが大切です。自社に導入したことを想定しながら、役立つ機能があるシステムを吟味するようにしましょう。自社のスタイルに合わせて、柔軟な使い方が出来るシステムもあります。例えば「NICE営業物語 on kintone」というSFAでは、各会社の営業スタイルに合わせて、必要な機能を選択することが可能です。
万が一使いにくい商品を購入してしまった場合のことも想定して、無料のトライアル版を使って使用感を確かめてみることをオススメします、
サポート体制が整っているかどうか
システムトラブルが起きた際にすぐに対応してもらえる体制が整っているかどうか、という点も導入にあたり大切です。
システムの専門知識が無い社員がいない業界もあり、建設業界も例外ではありません。サービスの提供会社頼みになることも多いです。そのため、サポートを早めに受けられるシステムかどうかが重要になります。
クラウド型かオンプレミス型か
SFAは主に、インターネット回線を通じて利用する「クラウド型」と、社内のサーバーにインストールして使用する「オンプレミス型」があります。
利便性が高いことから、クラウド型が主流とされていますが、オンプレミス型の方はカスタマイズが出来る等、自由度の高い使い方が可能です。自社の環境に応じて選ぶと良いでしょう。
まとめ
SFAは営業活動を可視化し、生産性を向上させる便利なシステムです。デメリットもありますが、工夫次第で解決可能な部分でもあります。導入前に「何が必要なのか」「どういう目標を達成したいのか」ということを明確にすれば、有効活用出来ること間違いないでしょう。この記事を参考にして、自社に合ったSFAを選んでみて下さい。