建設業界は経済にとって重要な柱の一つです。国土交通省の報告によれば、国内売上高は膨大で、2022年度の投資額の見通しは66兆9,900億円にも上るとされています。首都圏の再開発事業などが引き続き進行する中、市場規模は大きいままです。
しかし、この市場は多くの課題に直面しています。生産性の低下や労働人口の減少、従事者の高齢化、労働環境の問題が顕著です。日本建設業連合会によると、付加価値労働生産性は全産業平均を下回っており、業界にとって大きな懸念材料です。
労働人口については、1997年から2021年にかけて約200万人減少し、持続可能性に深刻な影響を及ぼしています。高齢化の進行に伴い、若手人材の確保と育成が急務です。
2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用されます。これは労働体制の見直しを求める要因であり、限られた人材と時間内で効率的に業務を遂行するためには、業務プロセスの改善が必要です。
このような状況の中で、デジタル技術の導入が注目されています。「建設DX」と呼ばれるこの取り組みは、AIやICT技術を活用し、業務のデジタル変革を図ることで、人材不足や生産性の問題を解決しようとしています。国土交通省のデータによると、ICT施工の件数は2016年度の584件から2019年度には1,890件に増加し、デジタル化の進展が見て取れます。
建設DXでは、ドローン技術や自動制御技術、ERPシステムの活用などが行われています。これらの技術により、作業の効率化や人材不足の解消、安全性の向上、コスト削減が期待されます。
市場規模が大きい一方で、多くの課題を抱える建設業界ですが、デジタル技術の積極的な導入により、持続可能な発展が達成できるでしょう。競争が激化する市場で重要な役割を果たすためには、新しい技術と手法の導入で、業界全体の効率化と革新を図ることが不可欠です。