建設業界は、若者の関心が低下しているという問題に直面しています。国土交通省が公表した「建設業の現状報告」によると、2021年時点で29歳以下の若年層の割合は12.0％にとどまり、55歳以上の高齢層が35.5％を占めています。全産業の平均と比較しても若年層の割合が低く、人材不足が深刻化していることがわかります。
では、なぜ若者から敬遠されているのでしょうか。主な理由として考えられるのは以下の点です。
厳しい労働条件：長時間労働、休日の少なさ、有休の取得困難さなど、過酷な労働条件が問題視されています。2021年のデータでは、年間実労働時間は1,978時間と、他業界と比較しても長い時間に及びます。
柔軟な働き方の難しさ：リモートワークの普及が進む中、現場作業が主体であるため、柔軟な働き方が難しく、若者にとって魅力的な選択肢になりにくいです。
3K（きつい・汚い・危険）というイメージ：伝統的に3Kのイメージが根強く、プライベートを重視する若者には魅力を感じられにくい業界となっています。
これらの問題を解決するために、以下のような対策を講じることが必要です。
労働環境の改善：長時間労働の是正、休日の確保、有休の取得促進など、働きやすい環境への改革が求められます。これには、労働時間の厳格な管理や効率的な作業方法の導入、健康管理への配慮が含まれます。
DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進：ICT技術を用いた業務効率化により、現場作業の負担を軽減し、若者にとって魅力的な業務環境に変えることができます。例えば、ドローンを使った測量やデジタルツールによる工程管理などが有効です。
積極的なイメージアップのためのPR活動：魅力を積極的に伝えることで、若者の関心を引くことができます。ソーシャルメディアや業界イベント、教育機関での情報提供などが効果的です。
教育・研修制度の充実：若者がスキルアップできるような教育・研修制度を整備し、キャリア形成をサポートします。これにより、業界への定着率を高めることが期待できます。
多様な働き方の導入：フレックスタイムやシフト制、リモートワークの導入など、多様な働き方を支援し、プライベートと仕事の両立を可能にします。
若者離れは、一時的な問題ではなく、将来にわたる業界の発展に影響を及ぼす重要な課題です。これに対処するためには、業界全体での意識改革と戦略的な取り組みが不可欠です。魅力的な職場環境の提供、技術革新による作業の効率化、そして業界のポジティブなイメージの構築は、人材確保と持続的な発展のために重要です。
これらの課題に積極的に取り組むことで、若者の流入を促し、活性化を図ることができます。特に、技術の進歩を活用した労働環境の改善は、若者に新しい魅力を提供し、DXの推進は業界にとっての大きなチャンスです。
建設業界が若者に受け入れられる業界になるためには、従来の枠を超えた柔軟な発想と積極的な取り組みが必要です。これらの努力により、業界は新たな時代に適応し、さらに発展を遂げることが期待されます。